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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)1109号 判決

本籍

神戸市須磨区下寺田町四番地

住居

笠岡市笠岡六〇五の一番地

青物商

茨木駒木

明治三〇年二月七日生

右食糧管理法違反被告事件について昭和二八年二月一〇日広島高等裁判所岡山支部の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人山口貞昌の上告趣意(後記)は、憲法違反を主張するけれどもその実質は、刑訴四一一条に該当する事由のあることを主張するに帰するのであつて上告適法の理由にならない。また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。〔「論旨は、原判決が不利益変更禁止の規定に反するというのであるが、何が不利益であるかは必ずしも刑法九、一〇条の刑の順序に従うとのみはいえないけれども、これを全体として観察し、懲役刑が減軽されてその刑の執行が猶予された場合には罰金刑が増額されていても刑訴四〇二条に反しないこと明らかである(昭和二六年(れ)一八二六号同年一一月二七日第三小法廷判決刑集五、一三、二四五七頁参照)。」所論は違憲論の前提を欠く。〕

よつて同四〇八条一八一条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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